2018年12月29日土曜日

レンダーレイヤー活用とファイル出力の話

先日 CyclesとBlenderレンダーでの法線レンダリングした時の結果が違う
という話があり、そこからレンダーレイヤーの使い方を話す機会があったのですが
検索してもレンダーレイヤーに関係する解説が少ないようだったのでまとめてみます

今回はCyclesレンダーを扱いますがBlenderレンダーでもほぼ同じ機能になります
(これを書いている2018年12月末時点ではBlender2.8Betaにはレンダーレイヤーが搭載されていないため今後のバージョンでは変更になる可能性があります)

レンダーレイヤーについて

Blenderはオブジェクトを20個のレイヤーに振り分けて表示を切り替えたりする機能があります
レンダーレイヤーでは レンダリングの時にどのレイヤーをレンダリング対象にするかといった設定を切り替えられます

レンダーレイヤーの設定に並んでいる20個チェックボックスが3Dビュー上でのそれぞれのレイヤーに対応してます

シーン:」の方がレンダーレイヤーに関係なくシーン全体でオンオフが切り替えになり
右側の「レイヤー:」の方がレンダーレイヤー毎に切り替わる設定になっています
因みに3Dビューの赤丸をしたアイコンはがオンになっていると「シーン:」の方の設定と同期しますが
レンダーレイヤーを使用する場合には本来使いたいレイヤがレンダリング対象から外れてしまうことがあるので個人的にオフにしています

レンダリング結果はUV画像エディッタのプルダウンを切り替えて確認することができます
 
また、レンダーレイヤーの「パス」の設定で色の情報の他に レンダリングに使われた情報を個別に出力することもできます

参考までにレンダーレイヤーのレンダリング結果を疑似的に切り替える画像を作るとこうなります
レイヤーの切り替えでのレンダリングは比較的イメージしやすいかと思いますが
他の機能もみておきます

マスクレイヤーは そのレイヤー内のオブジェクトより奥にあるものを背景に透過させます
図では通常だと球体が描画される部分が背景になっています
背景を透明にしたい場合にはレンダー設定のフィルムにある透過のチェックボックスをオンにします

マテリアル:」にマテリアルを設定するとその設定が強制的に適応された状態になります
例えばシーン内で使っていた緑色のマテリアルを指定するとこうなります

あくまでも レンダーレイヤの「マテリアル:」にマテリアルを割り当てたレンダーレイヤのみ影響して、他のレイヤではオブジェクトに設定したマテリアル通りになります


ここで冒頭の法線レンダリングの話しになります
まずは BlenderレンダーとCyclesレンダーでの法線(ノーマル)のレンダリング結果を比較してみます
どうやらBlenderレンダーではカメラ基準でデータが出るのに対して Cyclesレンダーではシーンの座標軸で出ているようです
そこでまずカメラ基準の方向で色が出るマテリアルノードを作成してみます
オブジェクトを選択していない状態でマテリアルを操作できないようなのでスザンヌで確認しながらマテリアルを設定しています
これをマイナス方向も画像として出るように調整したものがこうなります
背景部分の色は不要のため「ワールドを使用」のチェックボックスを外しています

この話題の元になった 劇団ネコ@gekidan_nekoさん はAfterEffectsのフィルターでこういった光源効果をつけているようです
面白いですね

素材ごとのファイル出力

さて、レンダーレイヤーを使って色々な素材をレンダリングする例をみてきましたが
他のソフトに持っていく場合、素材を書き出す必要があります。

そこでコンポジッティングモードを使用します
初期状態の「コンポジット」の出力はレンダー設定の出力で設定したファイルパスに保存されます

ノードエディッタのコンポジッティングモードでは背景のチェックボックスをオンにして 出力ビューアーのノードに画像のデータを接続するとビューの背景で出力画像をプレビューでき
出力ファイル出力ノードでは入力した画像をファイルとして出力します
ファイル出力ノードは画像を基本パスで指定したフォルダの下に 「ファイルサブパス」で指定した名前で保存します
(図の状態だと tmpのフォルダに image0001.pngといった具合に画像が保存されます)

このファイルパスには色々書き方があって
基本パスに「//」で始まるファイルパスを手入力すると 開いている.blendファイルのあるフォルダが基準になる相対パスで指定できます
例えば「//render/」と入力すると ファイルのある場所にrenderフォルダが作成されて その中に画像が保存されます

入力に追加」を押すことで同じ基本パスを使用するノードの入力を増やすことができて
また、ファイルサブパスの方もスラッシュ”/”区切りでフォルダを作成することができます

図はファイルの保存されたのと同じ場所にranderフォルダを作成して
その中にimageで始まるpngファイルと さらにそこにAOフォルダを作成して別の画像が保存されている例です

imageの後ろについている数字は レンダリングしたフレーム番号です
デフォルトでは4桁ですが image#####abc と#を並べると#と同じ桁数に揃えたり 後ろに文字を挿入することもできます

駆け足で機能のレンダーレイヤーとファイル出力を使った素材の書き出しについてまとめてみました
このノードの使い方関連の話しはもう少しあるのでまたの機会に

2018年12月25日火曜日

モデリング不要な立体視マテリアルのお話(後編)

前回は奥行きをつけるシェーダーの基本的な考え方を解説しました
今回はノードを再利用して活用する手法を紹介したいと思います
因みに数学的な正しさよりも手軽に使える手法をとっているのを最初にお断りしておきます

Boothにサンプルファイルを置いておきますのでそちらを落としてください
ファイルを開いた状態はこうなります
ビューを回転させると テクスチャが普通と違った動きをするのが分かるでしょうか

Blenderはノードの組み合わせをグループとして登録して他で再利用できる仕組みがありますParallaxShiftという名前のノードがそれです。
ノードを選択してTabキーを押すと中身が見れます
今回はこのノードの中身は触らずに利用します

さて、元の表示に戻って説明します。
ParallaxShiftノードでの強さ深度はそれぞれ移動の大きさを指定するためのもので
出力のUVソケットは移動させたUVの値になります
(ベクトルのソケットは移動の大きさを出力していますが今回は使いません)
移動量の大きさの調整は強さの値を変更してください


別の使用例を挙げたいとおもいます
サンプルのマテリアル一覧からWall1を選択してください
青色の格子の奥に角度によって動くカラーグリッドのようになるかと思います
これは新しく追加したミックスのノードで付けた効果になります

ミックスのノードは 効果>ミックスRGBで追加できるノードで、
画像をつなげるとPhotoshop等のレイヤーで合成したように重ねることができます
今回使用した画像ではアルファでの透過を使用していますが
これは係数にアルファをつなげることでアルファの濃さによって合成させています

さて、このサンプルを動かしてみるとよく分かりますが、
実はこの立体視手法は簡易的な計算な カメラからの角度がつきすぎると動いて見えません
そこでその対策となるノードの一例を入れてみました
出力のつながってないミックスノードを次のミックスにつなぎかえると角度が大きくなった時に薄い色で目立たなくなります

さらにもう一つの使用例を
ParallaxShiftノードに用意した深度入力を使ってみます
こちらに画像を入力することで 画像の凹凸で歪み方を変化させます
一番シンプルな状態のノードにテクスチャを接続しても凹凸効果が出ますが
サンプルでは奥行きをつけたものに さらに凹みをつけるものを作ってみました

奥付きで移動した位置にテクスチャを移動させて さらにそのテクスチャ情報を元に凹凸を足しています


最後に今回のノードを作業中のシーンにノード等を読み込む方法を紹介しておきます

ファイルを開いてコピペでも他のファイルにノードを読み込めますが
他のファイルの中のデータを今のシーンに読み込むアペンドという方法があります

ファイルメニューのアペンドを選択するとファイル選択画面が出るので
読み込みたいデータがある.blendファイルを選択します。
するとさらにフォルダ一覧のようなものがでてきたかと思います
これがBlenderのファイルの中の種類毎のデータ一覧と思ってください
今回はノードの情報なのでNodeTreeの中にあるParallaxShiftを開いてください
画面の見た目では変化しませんが ノードエディッタの追加メニューのグループに"ParallaxShift"が増えています
さて、2回に分けてノードを使って立体的に見えるマテリアルの設定を取り上げました
何かの一助になればと思います

モデリング不要な立体視マテリアルのお話(前編)

※ この記事は Blender Advent Calendar 2018 に合わせて作成しました

ゲームでビル等の建物を表現する時に 建物の中をポリゴンで作りこむのではなく
壁面の見え方を計算で作りだしてそれっぽく見せてしまう「インテリアマッピング」
という手法があります。

ゲームエンジンでゲーム作る人にはある程度知られた手法ですが
アニメ等の他の界隈の人の話題にも出ることも多くなったのと
Blenderでもできるのを確認したかったので試してみていました

やってみた後 街中の景色を見ていて作ってみたのがこれ
こちらのバルコニーのようにマッピングする簡易版がリツイートが伸びたこともあり記事にしてみます
この解説ではアニメの背景のような陰影付けをテクスチャに描いてしまう
作画主体の作業のものを扱います

2回に分ける予定で今回は 基本的な考え方を取り扱うので、使い方だけ知りたい方は後編へどうぞ

まず 複数の物が奥行きを持って見えるというのはどういうことでしょうか?

  1. 奥まっているところは陰った感じになっている
  2. 視線を動かした時には手前のものと動く幅が違う
  3. 遠くのものほど小さく見える
  4. 空気遠近法

といったものが考えられると思います
1に関しては初めからテクスチャの陰影で表現することに 4は無視します
2と3に関しては視界の中の変化と見る角度の変化の違いで実際には同じものです
奥まったものが見えることを図にして考えてみて見ます

平行な面F1 F2があった時に
F1のある点Aから見通した場合 目線の先のA’では少しだけずれた位置のものが見えることになります
つまりF1の面上で見る角度に応じて、ちょっとだけずらしたテクスチャを表示すると奥まって見えないでしょうか
どう計算すればいいでしょうか?



ここでベクトルというものでてきます
調べると「ベクトルとは大きさだけでなく、向きももった量」 と出てきます
三次元の座標も「位置ベクトル」と言いますし、画像のピクセルの座標(x,y)もベクトルです
3Dで面がどちらの方向を向いているのかという表すものを「法線ベクトル」と言ってXYZ軸それぞれの大きさで表現されます
細かいことは抜きにして、数字の組み合わせで向きや位置が表現されていると考えてください
そしてコンピューターの計算では ベクトルの向きや大きさを使う色々な便利な計算が用意されています

因みにBlenderでは画像の座標を
左下を基準の0に 画像の端を1.0になるものとしています
一般に画像の縦横の大きさを1.0として(0.0~1.0)の間で画像内の座標を表すものをUV座標(UVベクトル)と言います



3Dのデータの見た目を設定する仕組みをシェーダーと言いますが
ここからBlenderでそれを設定するための「ノードエディッタ」の使い方を順を追ってみていきたいと思います
Cyclesレンダー利用していきますので レンダーエンジンをCyclesに変更してください
(Blender2.8以降ではShaderEditorで Eeveeレンダーでも同じ操作でできるようになっています)

下準備に 平面を作成してUVを作成しておいてください
また、効果を確認するためにカラーグリッド画像を作成しておきます
平面を選択した状態で
ノードエディッタに移ってマテリアルタブを選択して「新規」ボタンを押します

四角いものが2つが 曲線でつながれた状態になっているかと思います
四角いもの一つ一つがノードと言って、掛け算割り算といった感じの処理をしたりしてくれるもので,
ノードの左右に付いた丸がソケットと言って 左側のソケットから入った情報を処理して右側のソケットに出力します
ノードによってシーンから直接情報を取得するので入力のないものもあって
「マテリアル出力」に入った情報が3Dの形状の見た目を設定します

ソケット部分からドラッグ操作をすると 曲線が出るので 別のソケットまで引っ張るってつなげると情報が伝わる状態になります

まずは テクスチャを表示してみます
最初に設定されてる設定は使用しないので左側のノードは消去して
追加メニュー(Shift+A)から  シェーダー>放射テクスチャ>画像テクスチャを選んで図のように並べてつなげます

画像テクスチャノードの写真アイコンを押して 先に作ったテクスチャのグリッドを選んで
3Dビューのシェーディングマテリアルレンダーにするとカラーグリッドが表示されるかと思います


さて、画像テクスチャノードの左側に「ベクトル」のソケットがありますがこれは何に使うものでしょう?
これは画像のどの座標を3Dの面上にどう対応させるかを決める "UVベクトル"を指定するものになります
今は何も指定していないので アクティブなUVが自動的に設定されています
Blenderは複数のUVマップを持つことができますが
テクスチャのベクトルに入力>UVマップのノードを追加することで利用するUVを指定することができます


さて 見る角度によって画像をずらすノードの簡単なのを作ってみます
先にノードは掛け算割り算といった感じの処理をしたりしてくれるものだと言いましたが
UVに角度によって変わる値を加えることができればできそうです

入力>ジオメトリ ベクトル>ベクトル変換 コンバーター>ベクトル演算のノードを追加して図のようにつないでみてください
(図中で"追加"となっているノードはベクトル演算を選択した時に作られるもので ノード内のプルダウンで名前が変わります)
ジオメトリ"ノーマル"は面がどの方向を向いているかの情報で "ベクトル演算"の下のプルダウンを"カメラ"にすることで
ビューの方向から見て面がどういった方向を向いているのかといって情報が出力されます

3Dビューの表示を回転させてみてください テクスチャが移動しているでしょうか

長くなったしまったので今回の記事はここまで
次回後編は グループ化したノードを使って 実用に即したものを解説したいと思います

2018年10月12日金曜日

Blenderのカメラマップで背景動画の話(2)

前回は「プロジェクション」でのUV展開とUV投影モデファイアについて取り上げましたが
ここからは より実作業に使うものを紹介していきたいと思います

パーツ分け

パーツ分け前回の作業で作ったキャプチャーです


前後のがけの重なりがあるために
手前の岩が奥の岩壁に投影されてしまっているのが分かるでしょうか


こういう場合は元になる2Dの絵自体をパーツ分けしてしまうことにします
今回の分割した画像はこんな感じです。



手前側に当たるパーツに隠れていた部分を塗り足ししています

3D側でもこの画像と同じように個々のパーツに分割してしまって
別々の画像を割り当ててみます

まず 別のパーツにしたい部分を分割します


編集モードで分けたいメッシュを選択して Pキーを押すことで別形状にできます
分離で欠けてしまった部分のエッジを押し出しする等
分けた部分で隠れる部分のポリゴンも少し足しておきます

別オブジェクトに分離で分けたものは 元と同じマテリアルやモデファイアが設定された状態になっています

新しいマテリアルとテクスチャへの置き換え

パーツ分けしたオブジェクトのそれぞれのマテリアルを変更していきます

まず 一番奥の形状を選択してマテリアルタブの「+」のアイコンを押して新しいマテリアルを作成します
マテリアルを選択した状態で「+」のアイコンを押すと 設定を複製した設定がされます
同様に テクスチャタブも 設定を複製したテクスチャ設定を作成します



さらにテクスチャタブの画像パネル内の上側のフォルダアイコンを押して
一番奥にあたる画像ファイルを新しくシーンに読み込みます

透過部分ので設定

ここまではここまでは透過部分のない1枚絵でしたが
手前側に来るパーツのテクスチャ画像には透明な部分があるので
少しだけ設定が異なります

まず これまでと同様に新しいマテリアルを作成して
さらに「透過」にチェックを入れ 「アルファ」の値を0にします

テクスチャタブも新しいテクスチャを作成して
パーツに対応した画像を新しく読み込み
テクスチャタブの下の方にある「影響」パネルの「アルファ」のチェックをオンにします


3Dビューの表示をマテリアルにして確認するとテクスチャの透明度を元に透けているのが確認できます



下絵機能について

前回で触れた下絵機能ですが、
Blenderには複数の下絵を設定できるというメリットがあります
また、3Dのオブジェクトの手前側に下絵を表示したり 透明度を変更することもできます

後ろ側に表示する下絵だと、シェーデングやマテリアル表示でディテールを調整するのは難しいこともあるのですが、前表示だとメッシュに隠れる部分の調整もしやすいです

今回扱っているような複数のパーツに分けて作る場合
下絵画像で特定のパーツの色を変えたものを用意して下絵表示したり
指定のメモを手前に表示するのもいいでしょう

画像のアルファ部分は透過するので扱いやすいです

私は動画作成時に黒でトリミング枠のような画像を表示しています


コンポジット時のためのマージンを始めからつけつつ セーフエリア表示よりも、より仕上がりを意識したカメラワークがつけれるように感じます



カメラワークをつける


Blenderのレンダリングサイズの設定は1つのシーンに1つなので
同じシーンのままカメラワークをつけようと思うと
モデリング用と撮影用でカメラをいちいち切り替えることになります。

幸いBlenderには同じファイル内に複数のシーンを持つことができ、
他のシーンのデータを「背景」として読み込む機能があります

そこで 新しいシーンを作ってそちらでカメラワークをつけることとします

新しいシーンの作成

まず ウインドウ上部のSceneとなってる部分の横の「+」アイコンを押して新規シーンを作成します
いくつか種類が表示されますが引き継ぐ必要のある設定はないので「新規」を選択します


プロパティタブのシーンタブを表示すると
そこの上部に「背景」という項目があると思います 入力部分をクリックするとSceneという名前が表示されるので選択します

3Dビューにさっき作っていたシーンが表示されるかと思いますがどうでしょう。
表示はされたものの 選択しようとしても反応しませんね。 

今は新しく作ったシーンにカメラがないのでレンダリングはできませんが
この「背景」はレンダリングには元のシーンでの位置にあるようにレンダリングされます

「表示はできるけど操作はできない」という状態で
レイヤ設定は元のシーンと同じになるので表示非表示等の管理はレイヤで管理することになります


カメラの作成

さて、レンダリングできる状態にしたいのでカメラを作成します
普通にシーン内で新規作成してもいいのですが、
位置や回転のデータを利用するために プロジェクションに使ったカメラを複製して持ってきます

まず、元のシーンに移動してカメラを選択します。
アウトライナで目的のカメラを選択すると自動的にシーンも移動するのが楽です。

選択したカメラを複製します
この時カメラの位置等は移動させたくないのでShift+Dの後右クリックするといいでしょう
これを 撮影用のシーン利用できるようリンクします
複製したカメラがアクティブになっているはずなのでCtrl+Lでリンクメニューを表示して
「オブジェクトをシーンへ」の項目の中から撮影用のシーンの名前を選択します

アウトライナ上のモデリングのシーンと撮影用のシーン それぞれに同じ名前のカメラがあるのが確認できるでしょうか

ここで 撮影用のシーンに戻って プロパティのシーンタブのシーンのカメラに先ほど複製したカメラを設定します
(同一ファイル内にあるカメラが選択可能なので 複製したカメラをシーンにリンクさせる必要はないのですが
 移動等の操作をするためシーンにリンクする操作を挟んでいます)

これで撮影用のシーンでレンダリング可能な状態になりました

今回のように投影したものを撮影して出力したい場合
一度に撮る範囲は元画像の一部なため、カメラの画角の設定も違ってくるかと思います
元画像の中央部を切り抜いたようなようにするには 
現在のカメラの画角*元画像の長辺/撮影で出す画像の長辺
という風に式を入力するといいかと思います
カメラを奥行方向に移動させたい場合 移動(G)のあと"ZZ"と、Zのキーを連打することで移動方向をカメラの奥行き方向に制限できます

こうして作成したカメラに動きをつけることでこういったものが作れます
参考までにここまでのファイルをアップロードしておきます
https://www.dropbox.com/s/4gdg14ioecp8k5m/Projection_sample.zip?dl=0

2018年10月10日水曜日

Blenderのカメラマップで背景動画の話(1)

私は何年か Blenderで絵をカメラマップ(カメラプロジェクション)する関連の仕事をしていたのですが
少しまとめておいた方がいいかと思い立ち メイキング的なものを使って手法の解説をしてみます

カメラマップとは?

3D形状に対してカメラ方向から画像を貼り付けるする手法で
手描き背景のテイストを維持して立体的な動きをつけれるので 特にアニメで利用されます

Blenderにはカメラマップで動画を作ったりするのに便利な機能があります
こちらでは この画像を元にその機能について解説していきたいと思います。

下絵の読み込みとカメラ設定

Blenderではカメラビューに「下絵」となる画像を表示機能があります
この下絵となる画像を読み込んでカメラの設定を合わせます
はじめに 3Dビューのプロパティパネルを表示して 下絵の「画像を追加」ボタンを押し「開く」でファイル選択画面になるので画像を選択します

カメラビューで見ると 読み込んだ画像が半透明表示されるかと思います
カメラの縦横比はレンダリング設定で決まるので 設定の縦横の数値を読み込んだ画像と同じにします。


次に絵の中と3Dが 重なるようにカメラを調整します
基準になるような形状を作成してそれに合わせるようにするといいかと思います
今回は、地面にあたる部分に平面を配置して グリッド状にポリゴンを分割しています
3Dビューをポリゴン表示モードにして 下絵内の主要な線とポリゴンの線を合わせていきます

この時 下絵の中のキモになる部分が基準形状と重なるようにカメラを移動させたあとに
そこを基準にカメラを回転させるとよいと思います
3Dカーソルをその合わせた地点に移動させ その3Dカーソルをピボットポイントにして
カメラを回転移動させます 回転の時にXキーを押すなど回転軸の制限をするとやりやすいかと思います


因みに この操作を簡単にできる 画像中の目印になるものを線で指定してそれに合わせたカメラ設定をする BLAMというアドオンもあります


UV展開

UV展開とはポリゴンの”この面にテクスチャのこの部分を使う”と対応づけるための操作です
カメラマップではカメラ方向からの見た目を元に設定します

これにはいくつかの方法があります。
まずは他のサイトでも解説されている方法でやってみます

 
ビューをカメラビューにして エディットモードに入り Aキーを押して全ての面を選択した状態にして
U キーを押すか メニュのメッシュUV展開の項目を開き 「プロジェクション」を実行します


デフォルトではタイムラインが表示されている下側のビューを
UV/画像エディッタに変更して 下絵として読み込んだ画像を表示してみます
写真風のアイコンを押すことで シーンにリンクした(読み込んでいる)画像の一覧で選択できます
他のパネル等の画像選択部分でも同じ操作になるので覚えておいてください


カメラビューと同じ見た目でメッシュが表示された状態になるかと思います
(今回は細かい調整をしないためUVの操作の話は割愛します)

マテリアルの作成

平面にマテリアルとテクスチャを割り当てます
Blenderはマテリアル(色や透明の設定)>マテリアルに関係するテクスチャ設定 という順の設定になります

まずプロパティエディタのマテリアル タブを表示して「新規」で新しいマテリアルを作成します
テクスチャそのままの見た目にしたいので シェーディングの「陰影なし」のチェックを入れます


次にテクスチャタブに移って 「新規」で新しいテクスチャを作成して
タイプのプルダウンが「画像または動画」    画像のパネルで部分を読み込み済の下絵画像を指定
マッピングパネルの 座標を「UV」に  マップをUVMapに指定します 


ここで一旦レンダリングしてみました
設定がうまくいっていれば 元の画像によく似た見た目の画像が生成されると思います

3Dビューをマテリアル表示にして回転させるとこんな感じです


もしかしたら 元の画像に比べて少し歪んで見えるかもしれませんね
面の分割をさらに細かくし直して UV展開を再度実行することで 誤差が小さくなって歪みが改善しますがちょっと面倒です

また、このままだと平面1枚なので、3Dソフトを使うからには凹凸をつけて立体的にしたいところですが
面を編集してUV展開を何度も繰り返すことになるのでやはり面倒ですね
ここから別の手法を使った作業を紹介していきます


モデファイアを使う

Blenderにはモデファイアという 便利な編集機能があり 元のポリゴン等の設定を変更することなく変形をかけたりできます


まずは「追加」のプルダウンから「細分割曲面」を選択します
これはレンダリング時にポリゴンを細かく分割してなめらかな曲面になるように計算させる機能ですが
今回は カメラマップの誤差を少なくするために使うので
なめらかな曲線にはしないような「シンプル」のオプションを選択しておきます


UV投影
UV展開の「プロジェクション」と 同じことができる機能です
オレンジ色のキューブのアイコンのある部分で 投影の元になるカメラを指定して
変更対象のUVマップを選択して
そのままでは縦横比1:1になってしまうので 縦横で長い方の比率を指定します


Blenderは入力ボックスに数式を入力して指定できるので
XYで長い方の辺の入力ボックスに”長辺の長さ/短辺の長さ”と入力するといいかと思います
(因みにこの機能は今あるUVマップに対して作用するのでUVマップを指定していない状態だと機能しません)
投影の元になる形状を選択したことからも分かるように
UV投影のモデファイアは必ずしもレンダリングで使っているカメラである必要はありませんが
形状をカメラビューで確認することが多いためモデリング時にはシーンのアクティブカメラの状態にした方がいいかと思います

ここで3Dビューの表示方式をマテリアルにしてみます
カメラビューで適当に平面を動かしてみると カメラから見たテクスチャはの位置は変わらず形状だけ移動するかと思います

これで何ができるかというと 
カメラ以外の方向からもテクスチャの適応結果を見ながらモデリングができるのです

今回のものでは 谷間の淵に合わせてナイフツールでエッジを作成して谷の方に押し出してみてます
リアルタイムで調整できてる感じが分かるでしょうか

ここまででBlenderのカメラマップについて使用している機能について解説してきましたが
画像も多く長くなったので記事を分けたいと思います
Blenderのカメラマップで背景動画の話(2) に続く